その他の微生物試験

バイオバーデンの同定

バイオバーデン同定(菌の種類を知る)は、放射線抵抗性評価の指標になります。
JIS T 11737-1では、バイオバーデンの微生物学的特性付けが求められています。

バイオバーデン測定した後に菌を分離培養し、様々な手法により微生物を同定します。

1.バイオバーデンの分離
シャーレから菌を取り、新しい培地に植菌し培養します。


画線分離培養したコロニー

2.MALDIによる迅速同定
MALDI-TOF MSを用いて微生物を同定します。


3.グラム染色
染色の結果、陽性菌は青く染色され、陰性菌は赤く染色
されます。

 
グラム陽性菌(桿菌)グラム陰性菌

4.BBLクリスタル同定システムによる
 菌種同定

コンピュータにより自動解析します。


5.位相差電子顕微鏡による形状観察
 
B.megaterium好気性芽胞形成菌図鑑

D値測定

 D値とは微生物数を1/10に減少させるのに必要な線量です。
 微生物の種類により、放射線に対する抵抗性が異なります。
 段階的な線量になるように照射して、生存菌数を測定することにより、D値を測定することができます。

微生物の種類 D値(kGy)
大腸菌 0.2
サルモネラ・センフテンベルグ 0.2
黒カビ 0.5 - 0.8
ブドウ球菌 0.7
枯草菌(芽胞) 2.0 - 2.5
Bacillus pumilus(芽胞) 1.6 - 3.6
ミクロコッカス・ラジオルランス 2.5
ボツリヌス菌 A菌 3.1

「放射線滅菌の現状と展望」,(公社)日本アイソトープ協会,1998、「食品照射の効果と安全性」,(財)日本原子力文化振興財団,1991 より